AI開発

W1-1 AI駆動開発入門

実践教育プログラム2026春のキックオフ前半。プログラム概要と5週間の流れを押さえ、v0を中心としたAI駆動開発の入門手順を網羅的に解説します。

今週のゴール:簡単なアイデアを AI を使ってアプリとして形にし、Discord に投稿して他の参加者に使ってもらおう。

実践教育プログラム2026春のキックオフ講義「W1-1 AI駆動開発入門」です。テーマは 「v0 を使った開発プロセスの自動化と、クラウドを使った本格的なアーキテクチャの習得」。担当は講師の上津原 和弘(@Nekokazu)。この記事では、プログラム全体の概要と5週間の流れを確認したうえで、**Section1「AI駆動開発入門(v0)」**を中心に、コード生成 AI の使い方を手順レベルで網羅します。

OLIENT TECH と実践教育プログラムについて

主催の OLIENT TECH は、次世代のより良い「学び方」と「働き方」を創る、高専卒・東大発スタートアップです。高専教育事業から大学の研究成果の社会実装まで垂直に展開しています。

経営メンバー・関連事業

役割氏名プロフィール
CEO藤本 鼓太郎大島商船高専 電子機械工学科卒/東京大学工学部 都市解析研究室/経産省暁プロジェクト(Re KOSEN)PM
COO福井 宥斗松江高専 情報工学科卒/東京大学大学院 技術経営戦略学専攻 田中研究室

株主・アドバイザーには、東京大学大学院 技術経営戦略学専攻 教授・博士(工学)の 田中謙司(東京大学工学系研究科修士課程修了後、マッキンゼー・アンド・カンパニー、日本産業パートナーズを経て2024年2月より現職)、株式会社アルバクロス代表取締役の 鈴木亮太(京都大学法学部修了後、日本興業銀行入行、日本産業パートナーズ等の設立・出向を経て、2015年よりみずほ証券プリンシパルインベストメント代表取締役社長)が名を連ねます。

関連事業・活動:

  • MonoLu株式会社:OLIENT TECH メンバーと物流業界の産業パートナーとの連携から生まれた東大発スタートアップ。カーブアウトと同時に3000万円の資金調達を実施。
  • 実践教育プログラム:高専から依頼を受けて PBL 型教育プログラムを開発・運用。東京都 ESG パートナープログラムにも採択。計150名以上の発展的な高専生を指導し、東京大学の研究室とも連携。
  • 高専テクノゼミ:高専特化のオンライン学習塾。すべての国立高専の学生指導と旧帝大進学実績、100名以上の高専卒旧帝大講師陣。
  • 高専就活テクノカフェ:学生のキャリア支援と企業の採用支援を一貫して行う就活プラットフォーム。今年度は23高専100名以上の高専生を就活支援。

実践教育プログラムとは

「心躍る挑戦を一緒に」をコンセプトにした実践型の PBL(Project-Based Learning)です。最先端のテックと課題解決を組み合わせた 5週間のオンラインカリキュラムを、半年ごとの技術の進化に合わせてリニューアルしながら運営しています。

全国から様々な分野の学習意欲が高い工学人材が集まり、プログラムの卒業生と在学生の知見の共有や、産学連携・自治体連携などを通して独自の学習文化を形成しています。パートナー企業からテーマを募集する形で、課題解決型人材の卒業後の活躍にも繋がる実践型のプログラムとして発展中です(過去開催の様子(YouTube))。

実践教育プログラム 2026春 実施概要

項目内容
主催OLIENT TECH 株式会社
協力/監修東京大学田中研究室、株式会社アルバクロス、ECOZZERIA協会、フューチャー イノベーション フォーラム
後援独立行政法人 国立高等専門学校機構
参加学生全国の高専生、および高専卒旧帝大生をはじめとする大学工学部人材・大学院生
募集テーマ実践的なテーマを募集し、学生が自由に取り組む

5週間の流れ

オンラインレクチャーを受講し、選抜された方は東京で開催される成果発表会に参加できます。

Week日程テーマお題
Week12/26(木)キックオフ/AIコード生成とクラウドアイデアを AI で形にして投稿しよう
2/26(木)LP と AIプロダクトの LP を作ってみよう
Week22/28(土)取り組むテーマの選定と企画アイデアソンで取り組むテーマを決めよう
Week33/7(土)データベースと AIデータベースや AI を活用してアイデアを形にしよう
Week43/14(土)センサーとスマホアプリ制作したアプリをインストールできるようにしよう
Week53/21(土)スライド作成と発表準備プレゼンテーションを完成させよう/参加者にサービスを理解してもらおう
成果発表3/26(木)東京での選抜成果発表会参加者にサービスを理解してもらおう

このほか、パートナー企業による DX 活動・事例紹介として、積水ハウスグループ(DX活動/事例紹介)と 株式会社ザイマックスデジタル(DX活動/事例紹介、2/27 金)が予定されています。

各 Week の到達目標と扱う技術

Week到達目標扱う技術
Week1:キックオフ/AIコード生成とクラウド簡単なアイデアを AI でアプリとして作成できる/作成したアプリを Discord に投稿し他の参加者に利用される/取り組みたい分野を調べて Notion にまとめるv0、Claude Code、Discord、Notion など
Week2:取り組むテーマの選定と企画5週間で取り組むテーマを決定し企画書を書く/FigJam でのアイデアソンを通してアイデアを磨き込むFigma、Google ドキュメント、ChatGPT など
Week3:データベースと AIデータベースとは何かを理解する/AI 機能を持ったアプリの作成方法を理解する/企画書のアイデアをアプリとして形にするFirestore、ChatGPT API、Teachable Machine など
Week4:センサーとスマホアプリWeb API を用いて QR コードやセンサなどの物理機能を使ったアプリを作成できる/Web アプリをインストールできるアプリに変換できるWeb API、PWA など
Week5:スライド作成と発表準備発表会で使うスライドが完成する/デモ動画・スクリーンショット・モックアップの準備が完了する/プレゼンテーションが完成するFigma、Google スライド、Canva など

各 Week のアウトプットイメージとして、Week1 は 電卓アプリ、Week3 は リアルタイムチャットアプリリアルタイムジェスチャー認識アプリ、Week4 は イベント参加アプリインストールできるアプリ などが示されています。

過去の成果物

プロジェクト名概要
take tech同盟南海トラフの防災リスクが高い高知の避難施設と年齢層ごとの居住分布を評価し、有事の際に強い都市構造を考察
オラオlaundry課題に忙しい高専生の「寮の洗濯機が空いていない!!」という課題を、加速度センサーを使ったシステムで解決
TOKYO WalQs大丸有エリアを歩いて「目が点」になった高専生たちの主観的な感覚を主成分分析で評価。土木学会にも論文として寄稿
東京みどリズム東京都内の緑の変化に着目し、人工衛星データの解析と街歩きを通して考察
ひょうたん島技勇団水のまち徳島の防災リスクに着目し、歩いて避難できることを目指した地域のお散歩活動を高専生の視点で提案
ハム専ギルド空間として複雑な大阪梅田駅近の「梅田ダンジョン」を、最短経路表示のアプリを提案して攻略

アドバイザーとメンターチーム

高専で学んだ技術を活かした「課題解決型の人材育成」に向けて、監修アドバイザーのもと、高専卒業生のメンターチームが学生の取り組みに伴走します。

監修は 田中謙司 教授(東京大学大学院工学系研究科 技術経営戦略学専攻/レジリエンス工学研究センター 教授・博士(工学))。

高専生は最先端の技術・テクノロジーを開拓するに足る、高い基礎力と応用力を既に身につけています。このプロジェクトをきっかけに、高専の学習からさらに視野を拡げ、実社会において活かせられる実践的な工学を身につけていただけたらと思います。 ——田中謙司

メンターチーム:藤本鼓太郎(CEO)、福井宥斗(COO)、上津原 和弘(@Nekokazu)(徳山高専 情報電子工学科 2025卒/大手 IT ベンチャーで活躍)、松村和樹(徳山高専 情報電子工学科卒/徳山高専専攻科 情報電子工学専攻)、室岡太一(木更津高専卒/筑波大学博士課程/都市計画分野を研究、査読付き論文13本、学長表彰ほか多数受賞)、菅田菜央(徳山高専 情報電子工学科卒/九州大学工学部4年/OT での技術インターン PM 経験あり)。

選抜型成果発表交流会

選抜されたプログラム参加者が、取り組んだ内容について最終発表を行い、協賛企業からコメントを受けることでプログラム後の活動まで発展させます。

  • 発表会本編:2026/3/26(木)10:45〜17:00/会場:Abema Tower(〒150-0042 東京都渋谷区宇田川町40-1)。次世代人材育成パートナーと運営が選抜した約30名を対象に対面開催。参加できなかった学生にもクローズドに配信し、感想アンケート(目標40件以上)を集めます。
  • 企業別交流:2026/3/27(金)/会場は企業の希望により決定。発表会翌日に、企業別で選抜した学生(最大10名)と職場見学などの交流の場を開催します。

💡 延泊が発生する場合、宿泊料金は別途企業負担となります。タイムテーブルは要望に応じて柔軟に設計可能です。

Discord・質問のお願い

Discord を使うときのお願い:

  • リアクションは多いほど良いです。特に重要な投稿には、読んだことを伝えるために必ずリアクションをお願いします。
  • 共有できる情報は全て共有しましょう。メンバー/メンターが知らないことが原因で作業が中断したりトラブルになることはよくあります。機密情報を含まない情報は、なるべくオープンにしていきましょう。
  • 保存したい情報と一過性の情報を区別する。特にチームチャンネルは活発にコミュニケーションを行うので情報が流れがちです。Notion など、情報を書き溜めるためのツールを積極的に使いましょう。
  • メンションは、広すぎない範囲で積極的に使っていきましょう(例:質問したい時、提出した課題を確認してもらいたい時)。

質問についてのお願い:

  • DM ではなくパブリックな場所で質問しましょう。 全員が見えるチャンネルで質問することで、特定のメンターに負担が偏ることを避けられ、同じことに複数回回答する必要もなくなります。
  • トラブルが発生したときは、抱え込まずに質問しましょう。 聞けば解決できる問題で時間を溶かすのはもったいないです。知らないこと・分からないことで上手くいかない状態になったら、迷わず相談してください。

本戦出場を決める評価のポイント

以下の評価基準を基本としつつ、作品独自の長所・短所をメンター/審査員が確認のうえ、本戦出場者 約30名 を決定します。

評価の基準配点内容
完遂力約40%開発力、最終成果物に至るまでのプロセス。改善を繰り返した回数。Discord での発信 など
ビジネスインパクト約40%解決する課題のインパクト。社会実装/事業化ポテンシャル など
ユニット経済性約20%導入する個人 or 組織単位でコスト以上のメリットがある など

⚠️ 最終的な成果物の傾向によっては、審査基準に若干の変更が加わる場合があります。また、貢献度次第ではチーム全員を招待できない場合があるため、全員積極的な参加をお願いします。

はじめに

皆さんは何を学びたくて高専に入学しましたか?

まずはこの問いを Discord(井戸端のスレッド)に投稿してみてください。そして——

それ、実現できるかもしれません。

これがこのキックオフの出発点です。

プログラムの流れ(3フェーズ)

  • Phase1:プロトタイプと企画
  • Phase2:開発とデプロイ
  • Phase3:ユーザー体験と改善

成果発表会は東京で開催されます(東京会場のイメージ)。

講師プロフィール

上津原 和弘(@Nekokazu) / 徳山高専 情報電子工学科 2025卒。「IT 業界のことなら任せろ!!」

💡 講義中はリアルタイムで質問できます(slido)。気になったことはその場で投げてください。

Section1:AI駆動開発入門(v0)

このセクションでは、次の流れで AI 駆動開発に入門します。

  1. 開発事例紹介
  2. v0 を使ってみる
  3. Claude Code を使ってみる

ここで使う「コード生成 AI」については、Claude Code を例にした解説記事も参考になります(コード生成 AI(ZDNet Japan))。

開発事例紹介:テクノン

今回紹介する v0 を使って作成され、現在実際に運用されているアプリが「テクノン」です。高専からの国立大学編入のおすすめ診断を行うアプリで、以下の URL から体験できます(shinro-check.olienttech.com)。

テクノン:高専からの国立大学編入 おすすめ診断アプリの画面

💡 従来の自分の実力では不可能だったことも、AI を使えば意外と実現できるケースがあります。「これくらいのものが作れるんだ」というイメージを、まず先行事例から膨らませましょう。

v0 を使ってみる

v0 は、Web 開発言語やインフラを提供する Vercel 社 が開発する、ChatGPT のように手軽に使える AI コード生成ツールです。

手順は次のとおりです。

  1. v0.app にアクセスします。
  2. 試しに「電卓アプリを作って」と話しかけてみましょう。
  3. アカウント未作成の場合はサインインを促されるので、Google アカウント連携など楽な方法で作成してください。

v0.app のトップ画面。「What do you want to create?」のプロンプト入力欄

⚠️ 無料版には利用上限があります。必ず v0 Mini を選択してください。

生成結果を確認する

数十秒待つと、右側に生成されたアプリが表示されます。エラー修正やデザインの調整が必要な場合は、左下のチャットから修正を依頼できます。

v0 が生成した電卓アプリのプレビュー画面

制作物を共有する

  1. Publish > Publish to Production のボタンを押します。
  2. 約数分でインターネット上への公開が完了し、Visit Site のボタンが表示されれば成功です。
  3. 完成したサイトを開けたら、Discord(お題提出のスレッド)で URL を共有してください。

v0 の Publish メニュー。Publish to Production ボタン

完成イメージはこちらの電卓アプリを参考にしてください。

v0 で公開した電卓アプリの完成例

[任意]ソースコードを確認しよう

やりたいこと操作
ソースコードの確認だけしたいエディター画面に切り替える(全プログラムの確認&編集が可能)
ソースコードを一般公開したいGitHub[猫]アイコンをクリック > Create Repository を選択
手元の PC で追加開発したいDownload Zip でダウンロードし、Antigravity や Claude Code などのツールで開発を続ける

v0 のエディター切り替えと Download ZIP の手順

v0 から GitHub に Create Repository する手順

💡 v0 に頼らずアプリを公開したい場合は Vercel がおすすめです。無料で使える AI コードエディタについては、記事後半(Appendix)で説明します。

[任意]エラーの直し方

なぜ v0 だけではいけないのか?

  • v0 の AI 無料版には試行回数の限界があります。
  • 選択の余地なく強制的に変更されてしまい、主体的でない場合があります。

そこで、次のような解決方法があります。

  • Gemini を使った解決方法:発生している問題とサイト URL を Gemini に共有します。もしソースコードを求められた場合は、前述のとおりエディタを開いてコピーします。
  • ローカルエディタを使った解決方法:Zip/Git/Shadcn のいずれかの方法で手元の PC にダウンロードし、Antigravity や Claude Code で問題について質問します。

💡 ハンズオン:ここで実際に20分間(目安)試してみましょう。

優れた作品を見る

v0.app/templates から、特に優秀な作品の一覧を確認できます。アプリだけでなく、ゲームやアート作品の作例もあります。先行事例を見てイメージを膨らませましょう。

v0 のテンプレートギャラリー。Apps & Games/Landing Pages/Dashboards などのカテゴリ

目次(スライド全体の構成)

このキックオフ資料全体は、次の構成になっています。本記事は主に「1. はじめに」と「2. AI駆動開発入門(v0)」を扱いました。

  1. はじめに(P.23)
  2. AI駆動開発入門(v0)(P.29)
  3. 今週の課題(P.47)
  4. Appendix(もっと知りたい人へ)(P.55)
2026夏