ブランディング
W3-2 チームのアイデンティティ
NIKEを例にブランドアイデンティティを学び、プロトタイプ・アーキタイプ・ステレオタイプという3つの「らしさ」と過去チーム名の由来から、チーム名・色・ロゴを決める手順を解説します。
ブランドアイデンティティ
ブランドはなぜ人を惹きつけるのか?
世界中にたくさんの企業やチームがある中で、なぜ一部のブランドは強烈に記憶に残るのでしょうか。
それは「名前」「色」「ロゴ」「スローガン」といった要素が、一貫したメッセージでつながっているからです。

💡 ブランドは「単なるマーク」ではなく、「人の心を動かすストーリー」を背負っています。
NIKEのアイデンティティ
NIKEは、ブランドを構成するすべての要素が一つのテーマに収束している好例です。
| 要素 | 内容 | 意味 |
|---|---|---|
| 名前 | ギリシャ神話の勝利の女神「ニケ」 | 勝利の象徴 |
| ロゴ | スウッシュ(ニケの翼をイメージ) | スピード・動き・勝利 |
| スローガン | 「Just Do It」 | 行動を促す強いメッセージ |
| カラー | 黒・白・赤 | 黒=力強さ、白=普遍性、赤=情熱 |
これらすべてが「挑戦と勝利」というテーマでつながっています。

ロゴのモチーフである勝利の女神は、ルーヴル美術館所蔵の彫刻「サモトラケのニケ」に由来します。

NIKEは何を伝えているのか
NIKEのすべての要素は、「勝利」「挑戦」「行動」というメッセージに収束しています。
- 商品だけでなく、広告やイベントも「やればできる」「限界を超える」という一貫したストーリーを持っている。
- だからこそ、プロ選手から一般の人々まで共感し、世界中で支持されている。
らしさの正体
自分たち「らしい」ってなんだろう? 「らしさ」の正体とは何でしょうか。
ここでは「らしさ」を、プロトタイプ・アーキタイプ・ステレオタイプという3つの概念に分けて考えます。
| 概念 | 言い回し | 着眼点 |
|---|---|---|
| プロトタイプ | 〜とはつまり〇〇 | 概念としての「らしさ」 |
| アーキタイプ | 〜とはそもそも〇〇 | 原点に潜む「らしさ」 |
| ステレオタイプ | 〜といえば〇〇 | 何かに代表される「らしさ」 |
プロトタイプ(概念としての「らしさ」)
プロトタイプ =「〜とはつまり〇〇」
そのものを端的に言い表したときの、概念としての「らしさ」です。
例として、Wikipediaのナイキの説明文を見てみましょう。
「ナイキ(Nike, Inc.)は、スポーツ関連の靴、アパレル、機器、アクセサリー、サービスの設計、開発、製造、世界的なマーケティングと販売を行うアメリカ合衆国の多国籍企業。本社はオレゴン州ビーバートン近郊、ポートランド都市圏にある。世界最大のアスレチックシューズとアパレルのサプライヤーであり、スポーツ用品の大手メーカーであり、2020年度の売上高は374億ドルを超える。…」 (wikipediaより引用)
チームでプロトタイプを考えるときは、次のような切り口が手がかりになります。
- チームのメンバー
- 取り扱うテーマやコンセプト
- メンバーの共通点
アーキタイプ(原点に潜む「らしさ」)
アーキタイプ =「〜とはそもそも〇〇」
成り立ちや原点をさかのぼったときに見えてくる「らしさ」です。次のような問いから探ります。
- このチームはなぜできた?
- プログラムに参加した理由は?
- テーマをそれに選んだ経緯は?
- 都市の歴史は?
💡 NIKEでいえば、ロゴの原点である「サモトラケのニケ」のように、ルーツにさかのぼる視点です。
ステレオタイプ(何かに代表される「らしさ」)
ステレオタイプ =「〜といえば〇〇」
何か象徴的なものに代表される「らしさ」です。次のような問いから探ります。
- このチームといえば?
- この都市といえば?
具体例:
- ナイキといえばエアジョーダン
- 社長といえばジョブズ
- 浅草といえば雷門



これまでのチーム名(一部)
過去の参加チームが、3つの「らしさ」をどう組み合わせてチーム名を決めたかの実例です。
take tech同盟
高いところに人を避難させる(take)と工学(tech)を用いることに因み、坂本龍馬の出身である高知を連想させる「薛長同盟」を意識して「take tech同盟」。

P(x)
Putter(ぶらぶらと歩く)をより促進するために、データを用いたアプローチで考えていこうという「Putter Transformation」を提唱。確率密度関数に因んで「P(x)」。

TOKYO WalQs
歩きやすさ(Walkability)の先進的な事例である、東京駅まで大丸有エリアについて、(Question)を持って取り組むから「TOKYO WalQs」。

東京みどリズム
「自然」という視点から東京のまちを見つめなおす。自然を象徴する「みどり」と調和を象徴する「リズム」を掛け合わせて「東京みどリズム」。

ハム専ギルド
大阪公大高専のメンバーが、梅田駅の地下街の道がダンジョンのようにわかりにくいことを攻略するチームだから「ハム専ギルド」。

tkg商興会
徳山*家族*銀南街の頭文字を取って「tkg商興会」。tkg→卵かけご飯というイメージから、スライドも卵色で統一。

おすすめのステップ
チーム名・色・ロゴは、次の手順で決めていくのがおすすめです。
- チームの「3つのらしさ」を、できるだけたくさん挙げる
- 組み合わせたり、言葉遊びを駆使してチーム名を決める
- チーム名から色やロゴを決める
💡 まず「3つのらしさ」を量で出しきること。そこから言葉遊びでチーム名を生み、最後に名前を起点に色とロゴへ落とし込むと、一貫したアイデンティティになります。